春日無線で“ 自作”タグの付いているブログ記事

2021年9月13日

8GHz 8桁周波数カウンタの製作

スペクトラムアナライザ(8592A)用トラッキングジェネレータを製作すべく準備をしていますが、ついでに信号発生器を組み込もうと考えています。
そこで正確な基準発振器もしくはその発振器で校正された正確な周波数カウンターが必要になりますが、所有していません。
今回は、後者の周波数カウンターを製作することにしました。

1.構成

目標を次のように決めました。
・最大測定周波数 : >8GHz
・測定桁数 : 8桁
・計測誤差 : 1PPS信号で校正できる(100MHz未満の周波数)

目標値は事前に決めたというより、秋月電子通商で手に入る商品で構成できる周波数カウンターの構成を考えたら、上記目標値となりました。

ブロック図.jpg

■基本周波数カウンター部
秋月電子通商の8桁周波数カウンターキット、AE-FCOUNT3を使用します。
この周波数カウンターの計測範囲は、1Hz~50MHzとなっており、GPS信号から得られる1PPS信号により、基準信号12.800,000MHz信号を発生するVCTCXOの発振周波数を制御できます。
本キットは前段に配置されるプリスケーラの分周比を、本カウンターに設定でき、周波数の直読が可能です。

AE-FCOUNT3_kit.jpg
AE-FCOUNT3_sch.jpg
参照

■20分周プリスケーラ
秋月電子通商の8桁周波数カウンターキット、AE-MC12080を使用します。
AE-MC12080.jpg
本キットに使用されているプリスケーラは、オンセミコンダクタのMC12080です。
このプリスケーラの入力周波数範囲は、0.1~1.4GHzとなっており、1/10、1/20、1/40、1/80の分周比を設定できます。
基本カウンターの最大周波数が50MHzなので、1/20分周を選択することで1GHzまで計測できることになります。
ただし最低周波数が100MHzなので、50MHzから100MHzの範囲は計測できない懸念があります。
MC12080_Range.jpg
プリスケーラは差動入力の構成となっており、本キットでは負入力をグランドレベルにし、正入力ピンをシングルエンド入力として使用しています。
ブロック図を見ていただければわかると思いますが、ここでは負入力をグランドから51Ωで浮かし、50-1000MHzの計測入力ポートとして使用します。
MC12080.jpg

■8分周プリスケーラ
1-8GHzの信号は、Hittite(Analog Devices)のHMC363S8Gで1/8分周し、後段のプリスケーラMC12080に引き渡します。
HMC363S8G_1.jpg
HMC363S8G_2.jpg
HMC363S8G_3.jpg
参照

本デバイスはプリスケーラ単体での販売ですので、FR-4基板にカッターでパターンを作成し、実装しています。

■その他
ケースはタカチのSY-150Gを秋月電子通商で購入しました。
このケースはシールド構造ではありませんが、フロント、リアパネルが平板のアルミとなっており、ケース加工が楽です。

信号入力コネクタは、1Hz-50MHz(BNC)を除いてSMAとしています。
1PPS信号にSMAを使用したのは、手元に沢山あり小型であることが理由です。手持ちのGPSモジュールの出力にもSMAを使用しており、接続が楽であることももうひとつの理由です。

ACアダプタは、AD-B90P130(秋月)を使用します。9V、1.3Aと十分で、580円と安価でした。

2. 製作

■キット、基板製作
キットといっても表面実装部品はすべて実装済みなので、リード部品をいくつか実装するだけで簡単に出来上がります。

プリスケーラ基板は付属のSMAコネクタは使用せず、テフロン同軸ケーブル(潤工社 ジュンフロン 高周波同軸ケーブル DFS020)で直接接続しました。

8GHzプリスケーラ用基板はFR-4生基板にカッターでパターンを作成し、1608サイズのチップ抵抗、コンデンサを実装しています。

■パネル加工
パネルは、ラベルシール(A4判)に穴あけ加工図を印刷し、パネルに張り付けて加工しました。
加工図は、Visioを使用し寸法入力して作図しました。
パネル穴あけ.jpg

■パネルレタリング
パネルのデザイン(レタリング)もVisioで作成しました。
作図したデザインは、フィルムラベルシール(ツヤ消し・シルバー)にインクジェットプリンターで印刷しました。
パネルレタリング.jpg
穴あけ加工の終わったパネルに、印刷したフィルムを張り付けて、穴の開いている部分をカッター等で切り抜いていきます。
パネルレタリング2.jpg
加工が終わり、コネクタ、スイッチ類を取り付けた状態です。
パネル完成.jpg

■基板実装、配線
ケース(プラスチック製)に基板取り付け用の穴をあけ、基板を実装し配線を行います。 実装、配線後の内部の様子です。
完成inside.jpg
Prescaler.jpg

3. 調整
GPSモジュールからの1PPS信号(正確な1Hz繰返しパルス)をカウンターのGPSポートに接続し、内蔵のVCTCXO(電圧制御型温度制御水晶発振器)の発振周波数を電圧制御で調整します。
このカウンターにはこのモードが設定されており、12.800,000MHzに調整します。 このTCXOは±3ppmの物で、12.8MHzに対して38.4Hzの誤差がありますが、1Hzの誤差まで追い込むことができます。(調整した瞬間は....)
Adj_1PPS.jpg
TCXOと言えども温度には敏感なので、蓋をした状態で調整できるように穴をあけています。

4. テスト

■1Hz-50MHzレンジ
スペクトラムアナライザに設置されているキャリブレーション用信号を測定してみました。
HF_25MHz.JPG
カウンターの値が正しければ、100Hz程度ずれていますね。

■50-1000MHzレンジ
このレンジの不安は、50-100MHzがプリスケーラの不感レンジで動作に不安があります。
残念ながら手元にこの周波数範囲の正弦波を出力する発振器がなく、試験ができませんでした。
矩形波ですとプリスケーラの感度が高い3倍高調波を計測してしまいます。
上限周波数の1GHzで試験をしてみました。
Middle_1GHz.JPG

■1-8GHzレンジ
このレンジでは1/160分周していますので、最小分解能は160Hzになります。
1GHzの信号を測定した状態です。
信号源周波数が正確だとすると、カウンターのTCXOが2Hzずれていることになります。
High_1GHz.JPG
4.0GHzの信号を測定した状態です。
信号源側のTCXOの周波数を調整した時のものです。
check_4GHz.jpg
HMC363S8Gのスペックでは最小入力周波数が200MHzとなっているので、500MHzでの試験をしてみました。
High_500MHz.JPG
ただしこのレンジでの最小分解能は160Hzとなりますので、低い周波数での測定は不向きです。

5. その他

二段目のプリスケーラの最低周波数に不満があります。
適切なプリスケーラを探して、入れ替えたいと考えています。